【処方】ナチュラルでサスティナブルな「フォリテクト」配合処方
抗炎症ボタニカルシールドポリマー「フォリテクト」を使用したユニークな処方設計
コクのあるリッチで濃厚なテクスチャーでありながら、肌へなじむ使用感、さらにベタつき感がない感触を演出できるボタニカルシールドポリマー「フォリテクト(フォリオタミクロスポラ多糖体)」について、処方コンセプトを提案します。
1.処方例① しっとり鎮静ローション
抗炎症効果をもつムチン様物質であるフォリテクトは、動物性ムチン成分を含み肌荒れ予防、肌再生の美容成分として注目を集めたカタツムリエキス(カタツムリ分泌液)と比べて、より高い保湿効果が認められました(図1、図2)。
【図1】角質水分量の変化(各原料10%配合時)
社内資料による
【図2】水分保持率(ろ紙に滴下5分後)
社内資料による
また、フォリテクトはキサンタンガムの約2倍の粘性を有するため、キサンタンガムを使用せず、天然成分で粘度を高めたい処方にもおすすめです。(美容液にフォリテクトを3%配合することで粘度1.6%アップ)(図3)
【図3】フォリテクトの増粘作用
社内資料による
フォリテクト配合により、高級感のある触り心地を付与した、べたつきのない、「しっとり」×「鎮静(抗炎症)」ローションをご提案いたします。
3.処方例③ ナチュラルカバーBBクリーム
フォリテクトを配合することでBBクリームのシミに対するカバー力が高まります。
肌の赤みをカバーし、肌トーンが明るく仕上がるしっとりタイプのベースメイク処方におすすめです(図6)。
【図6】シミに対するカバー力(左図)、肌トーンの測定(右図)
社内資料による
また、UVケア効果のあるBBクリームや化粧下地にフォリテクトを配合することで、乾燥が厳しい時期には保湿しながら、花粉等で肌荒れしやすい時期には、外的刺激から肌を保護しながらの「UV・保湿・保護」ケアが可能になります。
また、フォリテクトはブロードスペクトル(紫外線からブルーライト、近赤外領域)で吸収能を有するユニーク特長があり、近年注目されている「光から肌を守る」効果が期待できます(図7)。
フォリテクトが柔らかい被膜ベールを作り、特有の黄色が肌色をカバーすることで従来にはない新しいナチュラルなUVケアコンセプトをご提案します。
【図7】フォリテクトの吸収バンドのブロードスペクトル
社内資料による
4)低刺激 ふわふわ・もっちり泡洗顔フォーム
フォリテクトが界面活性剤による刺激を緩和し、肌に潤いを与えることで、洗い上がりの乾燥を抑えた低刺激洗顔フォームの処方が可能です(図8)。
【図8】アミノ酸系ポンプ式洗顔料による洗い上がりの角質水分量の変化
社内資料による
フォリテクトの特有の粘性により、界面活性剤の起泡性を高める働きや、もっちりとした弾力のある泡づくりに寄与します(図9、図10)。泡に弾力を与えることは、洗顔時の摩擦を抑えることにつながるため、洗顔時の肌ストレスが低減します。
また、高級脂肪酸ベースの洗顔料に配合した場合には、泡の肌への密着性向上や、高級脂肪酸のデメリットである洗い上がり後のツッパリ感の低減も期待できます。
【図9】洗顔フォームの泡の持続力と弾力性アップ
社内資料による
【図10】脂肪酸系固形石鹸の泡立ち改善効果
フォリテクト配合により、泡の膜が厚くなり、弾力のあるきめ細かい泡を形成
社内資料による
環境を配慮したコンセプト
フォリテクトは、食用として栽培する際に出るサイズが小さな規格外の小さな子ナメコを使用しています。サイズ規格外の子ナメコは、出荷されず廃棄されることがほとんどです。そのため、廃棄物を有効利用したサスティナブルな原料と言えます。
幼いナメコは、乾燥や寒さから身を守るために、シールド成分である多糖体を多く分泌している1)ため、肌の保護成分に適した素材です。
また、トレーサビリティの取れた国産(山形県産)の無農薬栽培の子ナメコを使用しているため、国産・オーガニックコンセプトの化粧品にもおすすめです。
まとめ
多機能なボタニカルシールドポリマー「フォリテクト」を配合することで、「保湿」「抗炎症」「肌バリア」「低刺激」「UVケア」をコンセプトにしたナチュラルでユニークな化粧品が開発可能です。
ヒアルロン酸Naなどの高分子多糖は加熱により粘度が低下し製剤の質感が変わってしまうため、添加のタイミングを気にする必要がありましたが、フォリテクトは熱安定性に優れ、粘度変化が起こりにくいため、添加のタイミングを選ばず、製剤を作りやすいメリットがあります。
洗浄剤からスキンケア、メイクアップ品まで、肌にも環境にも優しい化粧品の設計をサポートします。
製品紹介ページ
https://koken-cosme.com/material/plant/pholitect
参考文献
1)山形県産ナメコを用いた新規化粧品原料の開発(FRAGRANCE JOURNAL 2019-3)