若摘み果実と成熟果実のアンチエイジング効果の違い
「若摘み」果実とは?
最近、「若摘み○○」というキャッチフレーズで果実をアピールした製品がいくつか市場に出ていますが、「若摘み」と聞くとフレッシュさを感じさせますね。1個の果実を美味しく成熟させる為に、余分な果実を成熟する前に摘み取ることを摘果と言い、この摘果果実は成熟する前の果実であることから「若摘み果実」と呼ばれています。
スイカの産地 山形県尾花沢市の「若摘みスイカ」
山形県は、熊本、千葉に次ぐ国内第3位のスイカ生産地です。特に真夏に生産される夏スイカに関しては日本一です。山形県で生産される尾花沢スイカは年間約120万個が出荷(図1)されていますが、それと同時に出荷量とほぼ同量の未熟な若摘みスイカ(図2の未熟果)が間引かれています。
未熟な若摘みスイカの一部は漬け物などに加工されていますが、その大半は廃棄物として処理されています。当社は、この廃棄物となってしまう若摘みスイカを有効利用した化粧品原料の開発を、自治体や地元研究機関・食品加工会社と共同で行いました。
若摘み果実と成熟果実の違いとは?
若摘みスイカ(未熟果)から抽出したエキスには、シトルリンやGABA、グルタミン等のアミノ酸やピーリング効果のあるリンゴ酸やシキミ酸が含有されていました。また、抗炎症、抗糖化、抗酸化、細胞増殖作用といったアンチエイジング効果や皮膚改善効果(肌のキメの粗さ、皮膚の滑らかさ、乾燥度)を確認できました。
さらに我々開発グループは、未熟果と成熟果より抽出したエキスのアンチエイジング効果に違いがあるのかという点に着目しました。アンチエイジング効果の指標とされる抗炎症、抗糖化、抗酸化効果において未熟果と成熟果で比較試験を実施したところ、全ての項目において、成熟果よりも未熟果エキスの方が高い効果を示すことを明らかにしました。特に抗炎症効果は、未熟果エキスにおいて濃度依存的に効果がみられました。(図4、図5、図6)
「若摘み」ならではのフレッシュさに加え、アンチエイジングをアピールした化粧品へと提案を進めています。
「若摘みメロン」も製品化
当社では、上記のスイカと同様、山形県産の若摘みメロンから抽出したエキスも製造・販売しています。
山形県の日本海側には庄内砂丘が広がっており、この庄内砂丘はメロンの一大産地となっています。メロンの栽培においても、メロン1個を成熟させるのに6~8個の未熟果が間引かれ廃棄されています。(図7) 当社では、廃棄物となってしまう未熟メロンにも着目し、鶴岡市のブランドメロンである「鶴姫レッド」の未熟果から抽出したエキス「メロン子コーケン」を販売しています。
未熟な若摘みメロン(摘果)と成熟メロンの組成で違いがみられるのか分析したところ、若摘みメロン(摘果)の方は分子量の小さい単糖の割合が多いことがわかりました。また、若摘みメロン(摘果)はピーリング効果が期待されるリンゴ酸塩の割合が多いのに対し、成熟することでクエン酸塩の割合が多くなることが分かりました(図8)。
メロン子コーケンにも、スイカエキスコーケン尾花沢と同様にシトルリンやGABAが含まれています。これら成分は成熟メロンに比べ、若摘みメロン(摘果)に多く含まれており、保湿効果や皮膚改善効果、細胞増殖作用といった効果が期待できるのではないかと考えています。